私達は今回、山口県宇部市にある、ときわ動物園さんにzoom取材させていただきました。
1. 新型コロナウイルスの影響
新型コロナウイルスの影響により、時間を短くして開園していましたが、6月1日より通常通りの開園時間となりました。閉園前は、学校が休校になった子供たちを心配し、宇部市長の許可のもと、子供たちに無料で動物園を開放しました。3月中旬の約2週間で6千人もの子供たちが来園したそうです。
2. 休園中の動物の世話
基本的には今までと変わらず、ゆとりをもって飼育されているそうです。檻の点検、掃除、エサづくり、動物の観察など、休園中でも様々な仕事があります。
3. 開園中の新型コロナウイルス対策
出入口、屋内型観覧施設、トイレなどの前に消毒液を置いているそうです。また、動物園関係者は手だけではなく、長靴や靴の裏まで消毒しているそうです。消毒は、新型コロナウイルス流行の前から、ときわ動物園で徹底していたことだそうです。
4.今の若者に生物多様性をどう広めていくべきか
ときわ動物園では「生息環境展示」という、自然環境を再現した展示方法を採用しています。
例えば、シロテナガザル展示では、高さ15m近い樹木を植えることで、アジアの熱帯雨林を再現しています。枝をつかみ、高速で移動するという、シロテテナガザル本来の行動を展示できるそうです。これにより、観覧者に動物の本来の行動や、それぞれの動物に異なる生息環境があることを伝えることができます。
5.これから生物と共存していくために、どのような行動をとるべきか
生物と共存していくためには、互いに助け合い、支え合っていく必要があります。しかし現在、人間の環境破壊により、多くの動物が絶滅に追いやられてきています。
例えば、生物の豊かな生息地である熱帯雨林は、酸素を提供し、空気をきれいにするという効果があります。しかし、人間はこの熱帯雨林に生えている木々を切り倒し、アブラヤシに植え替えていってしまっています。
このアブラヤシの実から抽出されたパームオイルという食用油は、インスタント麺やポテトチップスなどの揚げ油に使われています。
このように、人間の都合により、生物の生息環境がどんどん失われているのが現状です。さらに、広葉樹は秋になると落葉し、土に還元するため、栄養のある土壌が形成されますが、アブラヤシの葉は、落葉しても腐らないため、土はどんどん痩せていってしまいます。やがて人類をも苦しめる問題へと発展する可能性は十分にあるにもかかわらず、人々の問題意識は低いのが現状です。
6.生物多様性についての知見
動物園では現在、遺伝的多様性に非常に気を使っているそうです。放置しておくと、近親繁殖という、親子や兄弟同士で赤ちゃんを作ってしまうことがあり、流産をしてしまったり、未熟な赤ちゃんが生まれてきてしまいます。
それを防ぐために、世界中の動物園で、生まれた動物の赤ちゃんの情報を管理するシステムがあるそうです。このシステムときわ動物園ならではの特徴により、適切なペアづくりにつながっているそうです。
7.ときわ動物園ならではの特徴
前述したとおり、ときわ動物園の一番の特徴は、「生息環境展示」という展示方法にあります。すべての動物の展示を生息環境展示で行っている動物園は、日本ではときわ動物園だけだそうです。
8.どうすれば動物を守ることができるのか、私たちにできることは何か
人間は、豊かな暮らしを求めて、森林を伐採してまで大きな家を建てようとします。今後人口の急速な増加に伴い、さらに大量の木々が伐採されることが予想されます。ときわ動物園では、現在絶滅の危機に瀕している、インドのシシオザルの繁殖に力を入れているそうです。
インドでは、人口の爆発的な増加により、大量の木々を伐採した影響で、シシオザルの生息場所や食べ物が奪われてきました。個体の数が少なくなると、親子や兄弟といった血縁関係で赤ちゃんを産む、近親繁殖が起きやすくなります。近親繁殖は、未熟児が生まれる、流産、抵抗が弱くなるなどの側面があります。近親繁殖が起これば、遺伝子の多様性が失われ、絶滅に追い込まれてしまうのです。
また、アフリカゾウも大量殺戮により、絶滅の危機に瀕しています。人間がピアノの鍵盤やハンコに使う象牙が欲しいがために、ヘリコプターからマシンガンで大量殺戮されているのです。
このような、人間の身勝手な行動をやめるためにも、私たちは、動物の生息環境や動物に与えてしまっている影響を理解する必要があります。理解したうえで、動物や環境を守るためにどのような行動をすればよいか考える責任があります。
取材を終えて
生物を守るためには、人々の意識改革が必要だと改めて感じました。誰か一人が取り組むのではなく、世界中の人々全員が環境を守るための行動をしていかなければ状況は変わらないと思います。多くの方々に環境を守ることの必要性を広げていかなければならないと強く感じました。
また、取材をしていく中で、知らなかった知識や、新たな発見が多々ありました。私たち自身も、日頃から様々な問題点に目を向け、生物多様性に関する知識をより深めていく必要があると感じました。
ときわ動物園様、この度は貴重なお話をありがとうございました。